こんな方にオススメ
- 金継ぎを実際にやってみたい方
- 金継ぎ初心者の方
本の基本情報
金継ぎをたのしむ: 陶磁器・漆器——大切なうつわの直しかた
黒田雪子 (監修)
出版:2013/6/24
定価:1600円
本の内容
基礎知識
器の破損状態の呼び方、道具・材料、どの工程にも共通する基本の作業が紹介されています。
基本の作業には、筆の洗い方や、様々なペーストの作り方、また漆を乾かすための「室(むろ)」の用意の仕方があります。
いざ、金継ぎの仕方を学ぶ!
器の破損状態によって、9つのケースに分けて多くの写真で紹介されていました。
- ごく小さな欠け
- 小さな欠け
- 口の欠け
- 欠けとひび割れ
- 大きめの欠け
- 割れ
- 蓋と取っ手の割れ
- 複数の割れ
- 漆器の欠け
欠けはその深さに関わらず、「錆漆(さびうるし)」と呼ばれる基材を使って埋めていました。
(他のお教室で大きな欠けに使う刻苧(こくそ)は全く用いていませんでした。)
割れは、糊漆(のりうるし)で接着していました。
また仕上げは、金・銀ともに消粉(けしふん)と呼ばれるタイプの粉を真綿で蒔いて完成させていました。
これらの作業ために材料・道具を自分で全て集めるのは結構大変だと思います。
現在複数の会社から販売されている金継ぎセットは、その点、必要なモノ全てが少量ずつ入っているので便利だと思います。
Amazonのレビューには、本当に金継ぎの知識がない人には難しいとの声もありましたが、全体的に簡素化されシンプルな手順で、写真が多くてとても分かりやすい印象を受けました。
面白かった点
陶器だけでなく漆器の欠けも繕い方を紹介されていました。こちらは仕上げに金を撒いたりせずに、弁柄や黒呂色漆(朱色、黒色)でシックに仕上げていらっしゃいました。
また、すごく大きな壺の金継ぎをされている風景も紹介されていました。ゴムベルトで縛って、漆を乾かしては何度も塗り重ねて点半年以上かかりますよね。この本の時点ではまだ完成していなかったようですが、大作だと思います。
また、この本を監修された黒田雪子(ゆきこ)さんは、グラフィックデザイナーの仕事を経て、現在は陶磁器のお直しを行っているのだそうです。視覚にに訴えるデザインを考えるお仕事から、それを超えて実物を直すお仕事へ転換されたなんて、興味深いご経歴だと思います。
黒田雪子
静岡県生まれ。
1990年代前半、フリーランスのグラフィックデザイナーとして独立。
その後、食と身体の関係に興味を持ったことから関心は多岐へと広がり、
植物を調べるなかで樹液である漆とも出会うこととなる。
時を同じくして大切にしていた器が割れたことをきっかけに、
これまでの思考の断片が繋がり、器を直す勉強を始める。
2007年より本格的に漆での陶磁器の直しを請けるようになり、現在に至る。
東京都在住。
~黒田雪子 なおす、みなおす ホームページより~