オンライン金継ぎマッチングプラットフォーム「つぐつぐ」(以下、「つぐつぐ」)がスタートしてから約10ヶ月。大切にしていたけれど壊れてしまった器が職人さんの手によって修復され、続々と持ち主の元へ返っていきます。
今回、つぐつぐがスタートしてすぐに金継ぎ修理依頼をされた、橋本まこさん(37歳、2児の母)にインタビューさせていただくことができたので、ご紹介します。
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Q1 どうして金継ぎ修理を依頼しようと思ったのですか?
橋本さん:好奇心ですね。金継ぎ自体がどんなものか近くで見たことがなかったので、自分の食器がどんなふうに修理されて返ってくるのか実際に見てみたかったのと、子供に見せたかったんです。
Q2 金継ぎはどこで最初に知りましたか?
橋本さん:友人である俣野さんが金継ぎの会社を設立したと聞いて、その会社の案内を見て「え、金継ぎって何?」と思いました。そこで、会社ウェブサイトを見たり、Googleで検索して知りました。最初は、金継ぎが昔からあったものとも知りませんでした。
私はSDGsとか、物を大切にしようという意識が元々あって、日本に本来あるものなら知っておくべきだ!と思って、調べ始めたんです。
Q3 つぐつぐのサイトを使ってみようと思ったきっかけは?
橋本さん:つぐつぐを通してオンラインで職人さんに修理依頼をしてみて、その利用のしやすさなどを一通り体験したいなと思ったんです。もしすごく良かったら、友達にも広めたいなと思ったんです。
Q4 職人さんに金継ぎ修理依頼をする以外にも、金継ぎキットを使って自分で修理したり、教室で先生に教えてもらいながら修理するなど選択肢がありますが、なぜ職人さんへの修理依頼を選択されましたか?
橋本さん:物理的な問題として、今子供をあずけて金継ぎ教室に習いに行くっていう時間的な余裕はないですし、やっぱりやってもらうのが一番手軽だと思ったんです。子供が金継ぎに興味を持ったり、自分でやってみたいなと思ったら、習いに行けばいいかなぁと。一番最初の金継ぎを始めやすいステップが、人にお願いして、修理された現物を見ることかと思いまして。あとは子供がいるので、教室まで行って習うのもハードルが高く、器を郵送してしまうのが楽かと思ったんです。金継ぎキットを使って家でゆっくり自分で金継ぎする時間も今あんまりなくて…。もう少し子供と一緒にできるようになれば、買ってもいいかなと思っています。
つぐつぐ担当者:お子さんは何歳ですか?
橋本さん:7歳と4歳です。小学校1年生ぐらいなら金継ぎを上手にできるのかもしれないけれど、4歳だとできるでしょうか?お子さんが金継ぎをしている事例が思い浮かばず、手探りだったかもしれません。
Q5 つぐつぐのサイトを使ってみて難しかった点はありますか?
橋本さん:難しかったところは全くなかったです。むしろ、2回目にサイトを見た時に、登録されている職人さんが増えていて驚きました!私自身、金継ぎの知識が全くなかったので、価格がどれくらいが高い方で、どういうのが良いのか、安い方がいいのか…その価格設定で職人さんを選ぶ基準が分からなかったんです。そこがちょっと「誰にお願いしよう?」と悩んだ点です。もう私は全くの素人なので、逆に勝手に決めてもらってもいいくらいでした(笑)。郵送の早さや、場所によって金額が違うのか、そういった点もあらかじめ分かると嬉しいです。
つぐつぐ担当者:貴重なご意見、ありがとうございます。
橋本さん:職人さんを選ぶ基準としては、完成するまでに何ヵ月かかるかくらいしかなく、未経験すぎて、金継ぎの価格はどれくらいが通常なのか予備知識もなく、その辺りが少し分からなかったところですね。
Q6 金継ぎ教室に通ったり、金継ぎキットで自分で修理する金額と、職人さんに依頼する金額だと、どちらが高いイメージを持っていますか?
橋本さん:やっぱり自分で金継ぎする方が長期的なコストは安いのだろうなという気もしますが、自分で購入すると、金継ぎキットを使う頻度が関わってくると思います。強い意志があって、相当好きで「やり込むぞ!」までのやる気持ちがないと、結局長期的には安くても、宝の持ち腐れみたいな状態になるのかなぁと思いました。それを考えると、やっぱり依頼する方が安いような…安いか高いかというよりも、「確実」な気がしました。
Q7 つぐつぐのサイトについて良かった点を教えてください。
橋本さん:自分が金継ぎを誰かに依頼しようと思ったら、どこにどんな職人さんがいて、そもそもどういう方とコンタクトを取ることになるかも分からず、不安だと思います。でも、つぐつぐを通してなら、知らない人に自分の食器をお願いできます。家にいながらスマホ1つで知らない人…専門家か職人さんにお願いできるっていうのがいいですね。
インターネットで探せば誰か職人さんが見つかると思いますが、例えば、全国の1人1人の職人さんのホームページを見たとしても、口コミは確認しにくいと思うんです。あと、1人のホームページ開いてずらーっと見て、また次の人のホームページまたずらーっと見て…というのは結構手間がかかるし、結局何が良いのか自分で判断できないと思うんです。評価を1つのサイトで全部見れる方が手軽だと思うんです。あと口コミの数だけでなく、そのホームページの見栄えでも印象が変わってくるかもしれないので、すごくホームページに力入れているけど、実は力量が大したことないなどがあるかもしれないと思うのですが、つぐつぐのサイトに職人さんが集合していると、その辺りが統一されていてありがたかったです。
Q8 今後つぐつぐで改良して欲しい点はありますか?
橋本さん:よくホットペッパーなどでも「今週のおすすめサロン」とかトップページに出てきますよね。そういうのがあると、今つぐつぐの中で一押しの職人さんとか、今ならこの人はすぐ対応できます、というのを見て選びやすいかなと思います。ちょっと利害関係が入って難しいかもしれませんが(笑)。
Q9 金継ぎで修理された器が返ってきた時の気持ちを教えてください!
橋本さん:すごいと思いました!子供に見せられたのがよかった!割れた食器がこんなふうに返ってくるんだ、っていうことを、子供の目に見せることができて、子供は驚いてました。大事なお皿を捨てずに使えるっていうことが分かってもらえました。金継ぎ1つでも、ただの修理というよりは作品だなと思いました。人に見せても恥ずかしくないし、これがあることによって、友達が家に来た時にも紹介できますし。やっぱりインターネットを見ながら金継ぎの良さを理解するより、実物を見て「あ、これやっぱり広めた方がいいな」と思いました!
Q10 お子さんが金継ぎ器を見た時の反応は?
橋本さん:「これ何?」みたいな感じでした。「これは何がついてるの?」みたいな(笑)。「金じゃないかなぁ」「最初割れてたのが、こんな風に戻ったんだよ!」なんて言いながら(笑)。あんまり詳しく説明はできませんでしたが、初めて見たという感じで、子供が「すごーい」と言っていましたね。
Q11 つぐつぐも含めて、金継ぎ修理をどういう人に伝えていきたいですか?
橋本さん:今あるものを大事にしようというマインド自体を、子供たちに伝えていきたいと思っています!金継ぎしようと思う人は、物を大事にしようという意識の高い、私たちより上の世代の人が多いのかもしれないと思います。そういう方々は、アプリなどのデジタル親和性が高いか分からないですが、もっと若い世代や、それこそ20代や大学生が良いのではと思います。今の大学生は私たちの時よりももっと社会貢献や、今何ができるだろう?と考えとる方が多い気がします。そういう人たちに広げていくと、そこから上の世代にも広がっていくようになる気がします。
Q12 橋本さんとと同じく子供を抱えるママへ、メッセージをお願いします。
橋本さん:これからSDGsやサステナブルは絶対に必須キーワードだと思います。大量消費、大量生産の時代は終わったという意識を、お母さんが持たなければいけないと思います。金継ぎに限らずですが。ですので、子供と一緒に、お母さんも意識改革が必要だと思います。
つぐつぐ担当者:意識改革をして、どういう世界を実現したいですか?橋本さんはどうしてそこまで環境に関心があるのですか?
橋本さん:この先、人間が地球で暮らせなくなるんじゃないかと思っていまして…。宇宙や月に住める時代が来るかもしれないけど、このままだと地球には絶対に100年後には住めないんじゃないかと。夏の気温もどんどん上がってきて、北極の氷も溶けてくるし、地球に住める地域が限られてくるだろうし、もしかしたら夏はほとんど外に出られない時代も来るかもしれないし。将来の子孫は、人間らしい今のような生活がができなくなるんじゃないかと思うと、その責任はやっぱり先祖じゃないの?と思ってしまうんです。それに気づいてしまったら、もうそれは伝えていかずにはいられないんです。未来を生きる子供たちのために、今できることをしたいっていうだけなんですよ。
橋本さん:個々のお母さんからすると、別に関係ないっていう気持ちもあるかもしれないし、うちにはそんないい食器ないですって いうお母さんもやっぱり実際にはいると思います。日々の生活では、プラスチックや100円均一の器でも持っているので、お母さん全員に言えるかどうか分かりませんが。それでも文化を根付かせるのは、千里の道も一歩から。本当に、今私たちがでも変わらないと、永遠に変われないと思うんです。それまでの価値観もあって、30代、40代の大人の意識を変えるのは結構難しいと思いますが…。しかし、子供はまっさらで、何のバイアスもかかってないので、子供のうちからマインドコントロールではないですが、その意識を伝えることで、先々にずっとそれが続くと、私は思うでんす。
つぐつぐ担当者:すごいですね。今回金継ぎ修理した器も、それほど高い物ではないとおっしゃっていましたが、実際いくらでどこで購入されたのですか?
橋本さん:引き出物でもらったんです。ウェッジウッドで個人的に気に入っていたんです。しかも2つセットだったので、片方だけになってしまったら、ちょっと見栄えも悪いなぁと思って、修理依頼をしたんです。最初は和食器にしか金継ぎできないと思っていて、洋食器でもできるのか分かりませんでしたが、今回、洋食器でも意外といけることが分かりました!
最後に:お子さんにインタビュー
つぐつぐ担当者:お名前は何ですか?
カケル君:ハシモトカケルです。
つぐつぐ担当者:カケル君。これ見た時どう思いましたか?
カケル君:なんかすごいって思いました。
つぐつぐ担当者:なんかすごいと思った?金色がついたこの器よく使ってますか?
カケル君:うん、格好良い!
つぐつぐ担当者:これが最初戻ってきた時どう思った?最初なかったんだよね、これ。
カケル君:びっくりした。
橋本さん:カケちゃんもやってみたい?
カケル君:できるとしたらやりたい!
まとめ:金継ぎとSDGs、子供の未来について
金継ぎで、壊れた器を愛着をもって再び使えるようになるだけでなく
将来の子供が、安心して元気に地球で過ごせる世の中作りに貢献できるという
とても壮大で強いメッセージをいただきました。
インタビューに快くお答えいただいた橋本さん親子に感謝いたします。
ありがとうございました!
2021年6月23日
kNotPerfect株式会社
俣野 由季