11月13日うるしの日(漆の日)の雑学・由来
みなさん、本日11月13日が何の日かご存知ですか?!
とってもマイナーなので知らない人も多いと思いますが、実はうるしの日(漆の日)なんです!
1985年(昭和60年)という今から36年も前に、この日を記念日に制定したのは、日本漆工芸協会。
日本の伝統工芸である漆(うるし)の美しさを多くの人に知ってもらいたいことから、制定したそうです。
なぜこの日が記念日に制定されたかというと、さかのぼること平安時代。
文徳(もんとく)天皇の第一皇子親王である惟喬(これたか)親王が京都嵐山の法輪寺にこもり、その最後の日である11月13日に、うるしの製法を菩薩から伝授された、という伝説があるそうです。
惟喬(これたか)親王は、実はお椀の形を作るろくろ(轆轤)を発明した人なのです。
木からお椀を作る職人さんである「木地師(きじし)」さんにとって、ろくろの発明は大変画期的なもので、惟喬親王は「木地師の祖」とも呼ばれ、あがめられているそうです。
木のお椀(木地)を作ったら、その表面に漆で色を塗って、みなさんがよく見るような黒や赤の艶やかなお椀が出来上がります。
このような言い伝え・歴史から、11月13日は、昔から漆に携わる人々にとっての祭日となっており、親方が職人にお酒やお菓子などをふるまって労をねぎらう日だったそうです。
漆(うるし)って何?
うるしは漆の木から採取される、樹液です。
漆の木1本から約200mlしか採れない、大変貴重な資源です。
漆の木は中国など東南アジアから日本に生息していて、今も日本の伝統工芸である漆芸には欠かせない材料です。
下の写真は、すでに漆を採取して伐採された漆の木です。
漆の木に引っ掻き傷がありますが、木の幹を引っ掻くことで、じわじわとあふれ出す漆の樹液が採れます。
採れた樹液からゴミを取って生成した最初の漆を、生漆(きうるし)と呼び、漆芸や金継ぎなどで使っています。
うるしには接着効果があることが9000年以上も前の縄文時代から知られており、壊れたものをくっつけて修復することに利用されていました。
そして、金粉を作る技術が発達した日本では、室町時代に蒔絵の技術と漆の接着効果が融合し、金継ぎという陶器・陶磁器を美しく修理する技法が誕生しました。
衰退する漆芸業界と空前の金継ぎブーム
日本では昔、器を主に木から作っていました。
昔は木の器にうるしを塗られた漆器(しっき)産業が盛んでしたが、最近ではプラスチック製品などの台頭により、漆器の需要がどんどん下がってきています。
漆を販売するお店も日本全国で数えるほどしかなく、高齢化が進んでいます。
漆関係者からすると、日本の伝統である漆を使った産業を、少しでも活性化させたい気持ちがあると思います。
そんな中、2020年のコロナ感染症拡大で、漆を使った陶器の修理技法「金継ぎ(きんつぎ)」が空前の大ブームとなっています!
漆器に比べると、金継ぎで使用する漆の量はわずかですが、主婦など一般人が金継ぎに挑戦することが増え、さらには海外からも金継ぎしたい外国人が増えていることから、金継ぎの需要は急増しています。
金継ぎが、低迷する漆産業を救い、日本の伝統工芸の救世主となるのではないかと考えています。
うるしの日(漆の日)である今日は、日本に古くから伝わる自然を生かした伝統と、今の私たちの生活を考える、良いきっかけになるのではないでしょうか。
私たち「つぐつぐ」は金継ぎを通して、日本の素晴らしい伝統である漆芸の魅力を、若い層から世界中の方にお届けできるよう、これからも活動していきたいと思います!